管理薬剤師になるには?転職のコツや仕事内容などを徹底調査しました
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薬剤師の役割は、働く場所や関係する法律、立場によっても異なります。中でも薬局の統括的な部分を担う管理薬剤師は、一般の薬剤師よりも広い視野をもって薬局を管理しなければなりません。薬剤師として成長していくなら、一度は目標にしたいポジションです。どんな仕事内容なのかメリット・デメリットも併せてご紹介します。
管理薬剤師とは?
管理薬剤師とは、その名の通り薬局を管理する薬剤師を指しています。一般の薬剤師と管理薬剤師の違いは、特別な資格や免許で分けられるものではありません。薬剤師としての経験や目配り気配りができるか、指導力、統率力、コミュニケーション力などが備わっていれば、誰でも目指せるのが管理薬剤師です。
一般的に薬剤師としての勤務経験も3年とされていますが、明確な決まりはありません。しかし、勤務場所によっては調剤点数報酬を得るために、薬局勤務年数5年以上や当該保険薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍なども求められています(※)。今後、ますます地域密着型の薬局がチェーン展開され、1店舗に1人の薬剤師が必要です。薬剤師の活躍の場が広がっていくことを考えれば、管理薬剤師の需要は大きいといえます。
参照元:(※)医療保険 |厚生労働省保険調剤理解のためにPDF:17ページより
管理薬剤師の仕事内容
管理薬剤師になるための厳格な決まりはないものの、薬機法(※)では「管理薬剤師の責務」として仕事内容にも詳細な役割が示されています。具体的にどのような仕事内容なのか、分かりやすく解説していきましょう。
管理業務に関わる仕事内容
管理業務の中には、従業員の監督・医薬品等の管理があります。
従業員の監督では、働く場所によって定められた医療法や薬機法の遵守ができているかの確認や、専門的な薬学のアドバイスなどが求められます。薬剤師のレベルや質を一定以上に維持するための業務といってもいいでしょう。定期研修や新人指導なども含まれます。
医薬品等の管理では、
- 医薬品等の配置・整理整頓
- 適切な保管状態(遮光や冷所など)の確認
- 使用期限管理や棚卸
- 設備改善箇所の提案
などがあります。
適切な使用のために情報提供
患者さんや薬を求める人へ適切な医薬品かどうかを判断し、服薬指導や起こりうる副作用などを提供するのも仕事内容の1つです。またコミュニケーションを図りながら一般用医薬品で適当かどうかも判断し、症状によっては医療機関への受診を勧めることも仕事内容に含まれます。
その他の業務
薬の服用を始め、効果はどうか、飲みやすさやクレームはないかなど、情報を提供するだけでなく集めることもあるでしょう。必要な情報を管理できるように体制を整えることも、管理薬剤師の仕事です。緊急性や安全性、有効性、副作用の情報を厚生労働省へ報告することもあります。
参照元:(※)厚生労働省:管理薬剤師等の責務の内容等について
管理薬剤師として働くメリット・デメリット
管理薬剤師として仕事をスタートすると、どういったメリットやデメリットがあるのかも把握しておきましょう。
メリット1 薬剤師としてスキルアップできる
通常の薬剤師の仕事と同様に、スタッフを統括しながら責任あるポジションにつく管理薬剤師の仕事は簡単ではありません。一歩引いた目線で職場を見つめながら、責任者として何をどうすべきかを考えるようになります。
スキルアップできるのは、医薬品の管理や調剤だけではありません。
- 新人指導や従業員への研修
- 各書類関係の知識
- マネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
などがあり、徐々にスキルアップできることはたくさんあります。
メリット2 収入アップが期待できる
管理薬剤師として勤務するようになると、一般企業でいうところの役職手当が付きます。職場によって変動が大きいこと、需要のあるエリアかどうか、という点も手当の大きさが変わってくる要因です。一般的には3~5万円が相場とされていますが、中には8万前後とかなり高額な手当が見込めるところもあり年収アップが期待されます。
メリット3 転職の際にも有利になる
専門的な薬剤師としての知識だけではなく、職場を統括し適切に運営できるような体制作りも担っているのが管理薬剤師です。転職の際に有利になる理由としては、
- 医療事務上の請求にも詳しい
- 必要不可欠な書類作成、手続きも可能
- 薬局経営者との連携を図れる(提案や改善)
などがあります。調剤だけではなく幅広い業務ができる管理薬剤師は、一度経験すれば転職の際にも将来性や即戦力となる部分を評価されやすいのです。
メリット4 やりがいがある
多くの業務に対し、広い知識を持って働く管理薬剤師は、自らも忙しい立場になることが多いでしょう。しかし少しずつ経験を増やし、できることが増えていく過程はとてもやりがいがあります。
スタッフの意識が高まり業務が滞りなく進んでいくようになれば、管理薬剤師としての責務を果たす難しさと達成感で、充実した毎日を送れるはずです。
デメリット1 勤務先のみでしか働けない
管理薬剤師には、基本的に副業や掛け持ちの勤務が許可されていません。これは薬機法第七条で定められているものです。
“薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。”
※引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
収入が予想以上に低いなどの理由で、他の場所で管理薬剤師として働こうと思っても働けません。業務も多くなりますから、できるだけ相当の対価が得られる勤務先を探す人も多いです。
しかし、同法では
“ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。”
という文言も続いています。業務上許可が必要な場合には、手続きを進めなければなりません。
※引用元:厚生労働省:管理薬剤師等の責務の内容等について
デメリット2 マネジメント能力によっては負担も増える
管理薬剤師は常にあらゆるアンテナを張って、さまざまな業務を回していく器用さも必要です。そのためにも、自分より経験のある人をうまく頼り、新人を丁寧に教育して業務を分散していくことも必要になるでしょう。
全部ひとりでこなそうと考えると、負担が増えてしまいワーカホリック気味になることも否めませんから、準備や計画が大切になってきます。
管理薬剤師に転職するには?ポイントと注意点
転職で管理薬剤師を目指す場合には、以下の内容に留意しておく必要があります。
自分のスキルを再確認しておく
管理薬剤師として転職を目指すなら、まずは現段階で自分ができることを再確認しておく必要があります。例えば職場の管理薬剤師が簡単そうにみえても、実際には経験やスキルがないと進められない業務も多いからです。
実際にどんなスキルが必要なのか把握したい場合には、実際に管理薬剤師として働く人へ聞くことが得策です。今すぐに転職を考えていない場合でも、準備しておきたい情報が得られるでしょう。
職場ごとに求められる業務の幅を把握する
管理薬剤師として働く場所には、調剤薬局やドラッグストア、病院、製薬会社などがあります。それぞれの場所で求められる管理薬剤師の仕事は異なるため、求人情報に詳細が少ない場合には面接でもしっかり確認するようにします。
例えば薬剤師在籍数が1人で業務を回す職場の場合、相当な業務量や責任が負担になるケースもあります。また、大きな病院などでは管理職としての扱いになるため、薬科長・薬剤部長といった肩書を背負いながら医師とも精通していくでしょう。
職場ごとに求められる業務をしっかり確認して、転職に備える必要があります。
あって困らない資格を取得しておく
転職の際には少なからず、ライバルとなる薬剤師も出てきます。同じ薬剤師でも広い知見がある人は、選考の際にも一目置かれる存在となる場合が多いです。薬剤師が取得できる資格を一部ご紹介すると、
- 認定実務実習指導薬剤師
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- 毒物劇物取扱責任者
- 薬事監視員
- 麻薬管理者
などがあります。働きたいと思う職場があれば、そこで必要になるであろう資格や免許に挑戦してみるといいでしょう。収入増につながることは少なくても、転職先の幅を広げることはできるはずです。
薬剤師専門の転職エージェントを利用する
管理薬剤師として働きたい場合、自分が求めている条件に合った勤務先がなかなか探せないことも多いです。また、普段の業務をこなしながら転職先を見つけ出す労力も負担になる場合があります。
薬剤師専門の転職エージェントを利用すれば、登録するだけで自分の希望にマッチした勤務先を紹介してもらうことも可能です。エージェントの方は自分を売り込んでくれるプロですので、計画と条件がマッチすれば転職もスムーズに進みます。
日々の経験がスキルに変わることを忘れずに
管理薬剤師になるには、特別な試験があるわけではありません。日々の薬剤師としての業務をこなしながら新しい仕事にもチャレンジしていく姿勢が、後々大きなスキルとなって積み重なっていくのです。薬剤師から管理薬剤師を目指すのであれば、普段から自分の業務以外のことにも興味を向けてサポートしてみようとする余裕も必要なのかもしれません。現職が多忙を極め、学ぶチャンスが得られにくい場合には転職を考えることも1つの方法ですよ。